太陽光発電システムの普及に伴い、国民生活センターへ寄せられる契約時のトラブルについての相談件数も増えていっています。
2013年はソラーシステム全体に関する相談件数は、4,747件を記録。その後は契約件数の低下に伴い徐々に件数は減っていますが、それでもまだまだ多くの相談が寄せられています。
ここでは、具体的なトラブル事例を取り上げ、その対策法について紹介しますので、今後契約を予定している方は参考にしてください。
太陽光発電システムの訪問販売では、「光熱費がゼロになる」「売電収入で儲かる」と言われることが少なくありません。
具体的な数字をシミュレーションで示す場合もあり、それを聞いて安心して契約する方も少なくないようです。
しかし、太陽光はあくまで自然の力によって発電するシステムであり、それは確実なものであると言い難いでしょう。
電気の買取価格は毎年見直されており、シミュレーション時とは異なることも。
さらに、業者によってはセールスのために実際とはかなり食い違う数字を示している例もあります。
売電や光熱費についての説明に不安を感じた場合は、契約しないこと。他の業者と合い見積もりをして、見比べておくと良いでしょう。
契約後に不安を感じ、解約したい場合は、契約から8日以内でしたらクーリングオフが適用され、一方的に解約するこが可能。
契約解除の通知書を内容証明郵便等で郵送しましょう。クーリングオフは消費者側の権利であり、どんな理由であっても適用され、料金は一切支払う必要はありません。
太陽光発電システムの施工時に起こるトラブルで最も多いのが雨漏りです。
その原因は、太陽光システムの急速な普及により、知識と経験のある施工者の育成が追いつかなかったから。
現状でも、知識、経験不足の技術者が施工を行っていることは少なくないようです。
こうしたトラブルを防ぐためには、まずは実績ある業者の選定が大切。
さらに、契約前に営業スタッフだけではなく、施工を行う技術者に工事についての具体的な説明を現地で受けるようにしましょう。
太陽光発電システムでは、メーカーごとに施工免許を発行していますので、施工IDの提示を求めることも忘れないようにしましょう。
契約後、設置工事が開始されたが、その途中で工事がストップしてしまい、業者とも連絡がとれなくなってしまう。
工事が途中で止まっただけなら、ただの手違いや発注ミスということも考えられますが、連絡がとれないとなると悪質です。その業者は経営に問題があるのかもしれません。
工事の状況によってはこのままでは雨漏りの被害が発生することもありますので、建築士に雨漏りについて相談すること、弁護士に法的手段について相談することをおすすめします。
太陽光発電システムを住宅に載せる場合、自治体によって「創エネ・省エネ・蓄エネ型住宅推進事業費補助制度(スマートハウス補助金)」や「住宅用太陽光発電システム設置促進事業補助金」などの補助金を活用できます。
残念ながら、2018年5月時点で長崎市では住宅用太陽光発電関連の補助金制度は導入されていません。
しかしながら、平戸市など長崎県内には住宅用太陽光発電システムを乗せた家に対する補助金を出している地域もあります。
今後は、年々補助金を支給する地方自治体は減っていくことが予想されていますから、長崎市近郊にお住まいで、補助金が支給される地域にお住まいならぜひこの機会にチェックしてみましょう。
自治体で補助金が出ているかどうかは、各自治体のウェブサイトから確認できます。
太陽光発電は、数年前までは補助金が出ていたため「出ると思って太陽光パネルを載せたのに補助金が出なかった!」とトラブルになる可能性も大いにあります。
太陽光発電を導入するなら、補助金制度がいつまでの工事に対応しているのか。そもそも補助金制度がお住まいの地域であるのか。この2点を事前に把握することがトラブル回避のための一番の対策です。
また、補助金が使える場合でも、補助金申請が「設置工事前」にできるタイプと「設置工事後」しかできないタイプ、2タイプがあります。
自治体によるところが多いため、確認が必要です。また、スマートメーターと呼ばれる、電力量を図るデジタル機器の設置・連携が補助金をもらう条件となっている場合もあります。
タイミングによっては、申請期間中に機器の手配や工事が間に合わないというケースもありえます。補助金活用をするなら、早めの工事・手続きを心がけましょう。
太陽光発電の天敵と言われることもあるくらい、トラブルの原因となることが多いのが「雪」です。
屋根に雪が積もれば、そもそも太陽光パネルに太陽光が当たらなくなり、発電ができなくなります。
1日程度で溶けてしまう雪ならば、それほど問題になりませんが、1週間、2週間と慢性的に屋根に雪が積もるようでは発電がその間ずっとできないので問題が起こってきます。
また、太陽光パネルは表面にガラスを使っているため、雪が屋根から落ちやすいという特徴があります。
雪が屋根から落ちやすいとどんなトラブルが起こるかというと、落雪による被害です。「一般太陽光発電協会」でも、太陽光パネルからの落雪による事故を防止するために、消費者に注意喚起を促しています。
具体的なトラブル事例としては、太陽光パネルから雪が落ち、屋根の近くにあった車の損壊、隣家の庭の植木を折った、屋外の給湯器やテラスなどの設備が壊れた、下にいた人がケガをしたなどが挙げられます。
こうした落雪によるトラブルを防ぐには、太陽光パネルに雪が積もったら、屋根の下に近づかない。屋根の下に車や物を停めない・置かないことが肝心です。
また、屋根に登っての雪下ろしは、足元が滑りやすいだけでなく、太陽光パネルの損壊にも繋がりますから、やめましょう。
もう一つ、太陽光パネルの雪によるトラブルとして多いのが、積もった雪の重みで、太陽光パネルや建物が押しつぶされてしまう事態です。
そもそも太陽光パネル自体も重量があり、1枚当たり15〜20kgあると言われています。軽くても10kgを超えていますから、屋根に大きな負担がかかっています。
想定外にたくさんの雪が積もれば、雪の重みで下の建物が損傷することは大いにありえます。
例えば、太陽光パネルを支える金具が屋根にめり込む、屋根の頂点にある棟木が折れる…などがその例といえるでしょう。
では、雪によるトラブルを避けるにはどうしたらいいのでしょうか?
まず大切なのは、落雪による被害をなくすために、屋根に「雪止め」を作ることです。落雪防止のための柵のようなものを作れば、不要の落雪はある程度防げます。
また、雪の重みによる建物の損傷を防ぐには、不必要にたくさんの太陽光パネルを載せないことが基本です。
きちんとしたメーカーであれば、地域に合わせてきちんとパネルの設置方法や設置枚数に関する設置基準を設けています。しっかりとその辺りも確認してみるといいでしょう。
出典:(PDF) 一般社団法人太陽光発電協会「《注意喚起のお知らせ》太陽電池パネルからの落雪事故防止について」2015年12月22日[PDF]
太陽光パネルが強風によって吹き飛ばされてしまうケースもあります。太陽光パネルは家屋の屋根、あるいは土地に建てるのが一般的です。もちろん設置段階である程度の強風が来ても飛ばされないよう計算のうえ設置されています。しかし、近年自然災害の脅威がより大きなものになっているので油断はできません。
太陽光パネル設置業者の計算を大きく上回るような台風・強風が吹き荒れるケースもあります。そのような悪天候時に太陽光パネルが吹き飛ばされてしまうと、太陽光発電が正常に機能しなくなってしまうでしょう。吹き飛ばされて太陽パネルが他の建物等に損害を出してしまい、損害賠償責任を負わざるを得ないケースもあります。
いくら太陽光パネルではあっても、大きなエネルギーが加えられることでどこかに飛んで行ってしまうことは十分に考えられます。この点ばかりは「気を付ける」のが難しい部分ですが、強風が太陽光パネルにリスクをもたらす点は覚えておきましょう。
太陽光パネルが原因による火災も報告されています。太陽光パネルは太陽の光を集積させてエネルギーと変換する仕組みです。そのエネルギー変換のため、様々な装置が使用されています。大きなエネルギーが集積されている状態なので、外部からの刺激あるいは何らかのトラブルの際、火災が起きてしまう可能性もゼロではありません。
実際、自然災害時に太陽光パネルから火災が起きた事例はいくつもあります。大型台風の強風や大きな衝撃をもたらす豪雨、あるいは河川の氾濫などによる強大な水流は特に危険です。太陽光パネルに迫った場合、破損や火災を起こしてしまう可能性があります。火災が起きてしまった場合、延焼したパーツは交換しなければなりません。その際、多大な出費が必要となるでしょう。
太陽光発電を導入する際、「メンテナンスは必要ない」と説明されたとしてもメンテナンスはしておくべきです。メンテナンスをしなかったがためにトラブルが起き、「こんなはずじゃない」となるケースもあります。
パネルそのもののメンテナンスもさることながら、パネル周辺環境のメンテナンスも忘れてはいけません。
例えばパネル周辺に生えている雑草が伸びてきた際、除草が必要となります。これもまたメンテナンスの1つです。基本的には屋外に設置するので、パネルに汚れが付着してしまう可能性があります。もしもパネルに汚れがあれば、汚れを拭ったり洗浄したりしておくべきです。この点を把握しておかなければ、予想だにしない出費が出てくるとなるでしょう。環境に合わせたメンテナンスと、それに伴う出費について確認しておくことをおすすめします。
生物によって太陽光パネルにトラブルが発生するケースもあります。代表的なものとしては鳥の糞です。当然、鳥はわざとパネルの上に糞をしている訳ではありません。電線のようにとまれる場所が太陽光パネルの上にあった場合は要注意です。電線に居座りつつ糞をされると、真下にある太陽光パネルに糞が「直撃」する可能性もあります。
糞が直撃すると、物理的なダメージよりもパネル表面に汚れが付着することによる太陽光エネルギーの集積率の低下を招きます。結果として思ったように利益を得られなかったり、メンテナンスの手間がかかったりするのがデメリットです。相手は鳥なので、どれだけ注意書きをしても効果ははありません。人間相手であれば注意喚起も可能でしょう。しかし、言葉が通じない生物相手となれば別の手段が必要です。
鳥の習性として、一度糞をした場所では再び糞をしやすいとも言われています。気付かないうちに太陽光パネルの表面が鳥の糞で覆われてしまっているケースもあるので、定期的な確認は必要です。鳥よけの対策をするか、鳥の来ない場所を選ぶなどで対応しましょう。
太陽光発電は、どれだけパネルに太陽の光を集積できるかが大切なテーマです。設置当初は「良い環境」であっても、時間と共に周辺環境が変化して集積効率が悪化してしまうケースもあります。周辺に建物ができてしまうと、建物の陰により日当たりが変わって集積効率が低下してしまうかもしれません。また、建物以外にも光を遮るものがあります。
雑草、木など自然環境の変化によっても、太陽光パネルのエネルギー集積が変わる点も覚えておきましょう。メンテナンスの話に相通ずる話ですが、雑草や木などは何をするでもなく、勝手に成長していきます。パネルの近くにあるなら、なおさら気を付けなければいけません。定期的な手入れをしておかなければ、太陽光パネルを覆い被さってしまうという事態になります。
雑草の中には数mの高さにまで成長するものもあります。ツタを伸ばす植物であれば、柱や設置台に巻き付きながら成長していくでしょう。もしそれがパワーコンディショナーに到達して内部に侵入した場合、故障を招く恐れがあります。火災の原因にもなりうるので、パワーコンディショナーの位置や設置予定の土地に生えている植物などには要注意です。
自然に生えてくる雑草は、太陽光パネルにとって不具合発生の原因となりえます。太陽光パネル設置周辺に雑草がある場合、十分に留意しなければなりません。定期的に草を刈り、除草する必要があります。自力での除草だけではなく、除草剤を散布することで雑草の成長を阻害する手も有効です。除草剤であれば毎回自分で除草する必要がないので手間もかかりません。
除草することで植物による阻害を防ぎ、太陽光発電のエネルギー効率を維持しやすくなります。自力ではどうしても手間がかかりますが、その分コストはかかりません。効率をそこまで重視しなければ、素手での除草で充分でしょう。除草剤や芝刈り機を使えばコストを抑えつつ、一度に広範囲の除草ができます。除草剤は人体やペットに悪影響を与えない物を選ぶようにしましょう。
芝刈り機を使う際は、石や物を弾いてケガをしないように注意してください。
除草のデメリットとして挙げられるのが、雑草がすぐに成長してしまうので頻度を増やさなければならないことです。雑草の成長力は誰もがご存知のように、踏まれても踏まれても逞しく生えてきます。太陽光パネルに悪影響を与えないためには、手間がかかるとはいえ定期的に除草しなければなりません。かといって手間のかからない除草剤の場合だと、物によっては周辺環境に悪影響を及ぼすことも懸念されます。
除草剤のおかげで近隣農家の農作物やペットへ悪影響を及ぼした場合、トラブルは避けられません。最悪、賠償請求といった話にまで発展する可能性もあります。場所によっては除草剤の使用が難しいケースもある点は覚えておきましょう。
草を映えなくする「防草」という手段もあります。こちらも除草と同じく、草が太陽光パネルを阻害する可能性を軽減してくれます。