太陽光発電の住宅用ソーラーパネルを設置したことにより、「雨漏りした!」というトラブルが一時期話題になったことがありましたね。
住宅での太陽光発電が流行し、大量に設置された頃です。
しかし、ソーラーパネルの設置が原因で雨漏りすることは、実際には考えにくいのだそうです。
では、なぜ雨漏りのトラブルが発生したのでしょうか?
今は雨漏りの心配をせずに太陽光発電を設置できるのでしょうか?
太陽光発電設置による雨漏りの原因は、以下の3つに絞られます。
「自宅の太陽光発電装置は屋根に載せる」と考えるのが一般的ですが、実はソーラーパネルを設置できる屋根と、設置できない屋根があります。屋根材の種類や断熱材の入り方、屋根の傾斜や、積雪量なども考慮しないといけません。設置条件の悪い屋根に無理やりソーラーパネルを設置することで雨漏りしてしまうケースが多いのです。
例えば、「豪雪地域で傾斜の緩い瓦屋根にソーラーパネルを設置したら、雪の重みでソーラーパネルの下の瓦が割れて雨漏りした!」などのケースですね。設置業者が十分な知識を持っていなかったことが、雨漏りを起こしてしまった原因になりえます。
屋根は普通、雨漏りを防ぐために屋根材と、屋根材の下に防水シートが敷かれています。ソーラーパネルは、屋根材とその下の防水シートに穴を開けて設置します。
「防水シートに穴を開けて大丈夫なの?」と心配になるかもしれませんが、そもそも屋根材の固定目的でも防水シートには穴を開けますから、防水シートに穴を開けること自体は特に問題はありません。雨は屋根材が防ぐものなので、防水シートは補助的な役割を担っているだけなのです。
しかし、防水シートに穴を開けたあとの処置として、「瓦屋根の一度動かした瓦をきちんと元に戻せていない」「スレート屋根の、穴を開けた部分のコーキング(隙間を塞ぐこと)がきちんとできていない」といった、屋根材を上手く取り扱えない設置業者の技術不足も雨漏りの原因になります。
知識や技術があっても、設置業者のモラルが低ければ雨漏りのリスクは高くなります。設置条件の悪い屋根でも、「うちは技術が高いから大丈夫」などと言って無理やり設置をすすめたり、コーキング剤に耐久性の低いものを使用したり、手抜き工事をされてしまっては、当然雨漏りしてしまう可能性があります。
設置後発生した雨漏りの状況を伝えると、有償での修理を提案してくるような酷い設置業者もいたそうです。太陽光発電が流行りさまざまな設置業者が急激に参入する中、モラルの低い設置業者も同時に増えたため、結果的に雨漏りのトラブルも増えてしまったというわけですね。
では、今から太陽光発電を導入したら雨漏りのリスクはないのでしょうか?
太陽光発電の流行りが落ち着き、設置業者の知識や技術も安定し、モラルの低い設置業者が淘汰された今こそ、安心して太陽光発電設置ができるでしょう。これまでの雨漏りの事例を研究し、二重三重の対策をとっている業者も増えています。また、屋根に穴を開けない工法をとっている業者も存在します。
さらに、国も雨漏り対策に動き出しています。 国土交通省では、太陽光パネルの施工上の留意点をまとめた資料、「太陽光発電パネルの設置工事に係る施工・検査基準」を発表し、事業者講習会なども実施しました。
基準を算定し、事業者に講習をすることで雨漏りのトラブルを防ぐ目的があるようです。 設置業者を選ぶ際には、安さや手軽さだけでなく、こうした講習会を経ているのか、国が定めた設置基準を守っているのかなどを確認したいですね。
設置業者が設置基準を守り、適切な方法で手抜きなく設置すれば、太陽光発電設置で雨漏りが起こるわけがないのです。